仲間が集まって

当日の参加は圧倒的に女性が多かった、それも綺麗な方が(写真提供:田中玲子)

 

 賛同いただいた方に呼びかけて、本番前に、三回の会合を開いた。

 第一回は前にも書いたかが、参加者は門田さんと僕のふたりだけ。

 第二回は、居酒屋で、八人の参加だった。そのとき、日本人の飲み会を定期的に主催しておられ、パブなどロンドン繁華街事情に詳しい長井さんと、大阪の大学から留学中で、甲子園での応援などに詳しい岡野さんと知り合えたのが大きな収穫だった。

 第三回は、マジックが一桁になったらもう一度集まるという約束を守り、九月五日トラファルガー広場のすぐ横のパブに「直前最終打ち合わせ」と銘打って集まった。「死のロード」で負けが込んでいるときは、毎日インターネットで経過や結果を見て、イライラが募り、僕はその結果不整脈が出てしまった。しかし、その日は、甲子園に戻ったタイガースが再び連勝をしているときで、集まった人たちの顔も一段と明るかった。

 大阪からの旅行者という「ベタベタの大阪のおばちゃん」が参加されたのには驚いた。もし、旅行中にタイガースが優勝したら、トラファルガー広場に駆けつけると言われて、僕は感激した。(結局、そのおばちゃんは大阪で優勝をお祝いされた模様。)

その夜、門田さん、岡野さん、長井さん等の中心メンバーで、トラファルガースクエアの下見をした。有名なネルソン提督の銅像の下で「六甲おろし」を歌うことに決めたが、蛍光色の黄色いベストを着た警備員が目を光らせているのが、何となく心配だった。長井さんの紹介された祝勝会をする予定のパブにも行ってみたが、三十人は楽に入れそうで安心した。しかし、前もって予約ができないのが、少し困りものである。

 三回の会合はどれも楽しいものだった。こんなに会話の弾む集まりは久しぶりだと思った。と言うのも、通常、知らない人間が集まり、会話を成立させようと思うと、まず共通の話題を探さなくてはいけない。

「この人はお酒が好きそうだから、お酒の話題から入ってみようか。」

とか、先ず腹の探り合いをしなくてはならない。しかし、年齢が離れていたり、異性だったりすると、相手が興味を持って食いついてきそうな話題がなかなか見つからなくて、それだけで疲れてしまう。

 ところが、今回集まっていただいた人々は皆阪神ファンであることが明白。

「きのうの矢野さんのサヨナラホームランすごかったね。」

とか、

「最近、先発ピッチャーがどうもピリッとしませんね。」

と切り出すと、そこからはもうごく自然に会話が弾んでいくのである。こんな楽なことはない。それでいて、皆年齢、職業、性別、出身地がばらばらなので、結構新鮮な会話になる。初対面の方と、気を使わないで、こんなに楽しく話をできたのは何年ぶりだろうと思った。今回、この会を主催して、一番良かったことは何かと聞かれたら、迷わず「色々な人たちと知り合えて、楽しくお話ができたこと」と答えられるだろう。